『女王国の城』有栖川有栖
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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ありあり。
15年待ったよ、江神シリーズ四作目。アリスが先輩呼ぶ時はさんづけなのに、地の文に落ちると呼び捨ててたりしてるのに懐かしさを感じてみたり、バブルという単語に時代が止まってるなぁと苦笑してみたり、作中は15年の歳月を感じさせない雰囲気。
でも作品としては、ガチガチのロジックというより、エンタメ路線、冒険小説風に方向性が変わってしまってた。それは凄く面白くて、EMCの面々の生き生きとした動きに引き込まれもしたんだけど、双頭の悪魔で示した本格とは違ったところに行くのが15年経って出した答えなのかなと少しさびしくもなった。
謎は…特に驚きどころもなく。ここに魅力があればもっと良かったんだろうけどね。柄刀一の『時を巡る肖像』を読んだ時も思ったことだけど、小説として面白くなると、どうもトリックが貧弱になることが多くて、それがいいことなのか悪いことなのか悩ましくなる。
まぁ、これもありです。あり。